私たちはGATA転写因子の研究をしています。GATA転写因子群にはGATA1からGATA6までのメンバーが存在します。2つのZnフィンガーDNA結合ドメインを持つ転写因子で、DNA上のG,A,T,Aという配列を認識して結合します。私たちはとくに副腎髄質や造血細胞、腎臓といった組織に発現する、GATA1からGATA3までに焦点をしぼって、研究に取り組んでいます。

血球系に発現するGATA1からGATA3までのメンバーのなかで、GATA2は造血幹細胞、前駆細胞に発現して造血系の維持に重要であることが分かっていましたが、腎臓で高発現することも知られていました。腎臓での発現部位を詳しくしらべるために、Gata2GFPノックインマウスを用いて、GFP蛍光を指標にGATA2の発現パターンを見てみました。腎臓の切片を作成してGFP蛍光を観察すると、GATA2は集合管に高発現することが分かりました。腎臓の切片上でGFP蛍光と集合管マーカーのDBAレクチンの分布を比較すると、オーバーラップすることから、やはりGATA2は集合管に高発現することが確認されました。

腎尿細管細胞特異的なGATA2欠損マウスを作成し, 虚血再灌流腎障害(Ischemia Repurfusion Injury)を誘導したところ、GATA2欠損マウスでは腎尿細管壊死が著しく、アポトーシス細胞も多く、腎線維化もつよく生じることが分かりました。

腎尿細管細胞特異的GATA2欠損マウスの集合管細胞を用いて発現アレー解析を行ったところ、数多くの炎症性サイトカインやケモカインなどの発現レベルが低下していました。このことから、GATA2の制御下に炎症関連遺伝子群があることが分かりました。

化合物ライブラリースクリーニングから得たGATA因子阻害剤(ミトキサントロン)をマウスに事前投与すると、急性腎臓病誘導時の腎臓での炎症が顕著に軽減されることが分かりました。この結果から、GATA因子阻害剤には抗炎症効果があることが分かりました。この実験では我々が開発したヒトIL-6遺伝子BACクローンにルシフェラーゼレポーターを組み込んだ構築による炎症モニターマウス(WIM-6; Whole body Inflammation Monitoring by IL-6-Luc)を用いて、インビボイメージングシステムを用いてマウス体内での炎症評価を行いました。本マウスは理研BRCより分与可能です(https://mus.brc.riken.jp/ja/mouse_of_month/may_2016_mm)。